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バイク免許取得コラムVol.3 いきなり大型二輪免許は後悔する?指導員が教えるその理由
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バイク免許取得コラムVol.3 いきなり大型二輪免許は後悔する?指導員が教えるその理由

いきなり大型二輪免許は後悔する?指導員が教えるその理由

いきなり大型二輪免許 大型二輪免許後悔

更新日:2025年7月4日

「バイクの免許を取得するなら、大型二輪免許まで取りたい!」

バイク免許取得を考えたとき、いきなり大型二輪免許取得を考える方は、少なくありません。実際に、当校にもそういったご相談をいただくことが多くあります。そういった、お気持ちや熱意はよく解ります。
しかし、指導員としては「安全」に「スムーズ」にバイク免許を取得していただくためには、いきなり大型二輪免許にチャレンジするのではなく、ステップアップ(普通二輪免許を取得して、大型二輪免許を取得する)を、おススメしております。

ここでは、ステップアップで大型二輪免許取得をおススメする理由を解説しておりますので、参考にしていただければと思います。

数字の比較

教習車の比較

普通二輪の教習車NX400と大型二輪教習車NC750を比較すると以下のようになります。

項目普通二輪大型二輪
車両重量201㎏228㎏
最高出力46PS37PS
最大トルク38N・m57N・m

最高出力とは「瞬間的なパワーの最大値」になります。自転車で例えると、全力でペダルを漕いで「最も速度が出たときのペダルを漕ぐ力」として捉えていただければと思います。
出力は「PS」の単位で表記され、馬力とも言い換えられます。1PSは、馬が1頭で引っ張ることを指します。つまり、普通二輪の46PSとは、46頭の馬で引っ張る力を備えているということになります。ちなみに、原付は、約4馬力となっています。
単純に、教習車の普通二輪と大型二輪を比較すると、大型二輪の方がパワーを抑えられています。そのため、「大型二輪の方が扱いやすそう」と思われるかもしれませんが、実は最大トルクにポイントが秘められています。

最大トルクとは「瞬発力」になります。自転車で例えると「停止状態からスタートでペダルを漕ぎ始める時の足の力」として捉えていただければと思います。
トルクは「N・m」(ニュートンメートル)の単位で表記されます。これは、「1mの棒の端を、どれくらいの力で押せるか」を示す単位になります。つまり、この値が大きいほど、棒を押す力が強いので大きな力でスタートできるということになります。
普通二輪と大型二輪を比較すると、大型二輪の方がトルクが大きいので、スタート力、加速する力は大型二輪の方が強くなります。ここが、大きなポイントです。

バイク免許の教習は、発進停止~加減速~課題走行という流れで進みます。
発進では、アクセルとクラッチを使って発進しますが、アクセルの回しすぎやクラッチを急に離してしまうと、トルクの大きい大型二輪は、暴走する可能性が高くなります。
また、課題走行と呼ばれる、クランクや一本橋などでは、アクセルとクラッチを使用するだけでなく、ハンドルの使用、バランスどりなど複合的な操作が求められるため、苦戦することが多くなります。

操作方法は、普通二輪も同じであることから「普通二輪でも苦労するのでは?」と思われるかもしれません。確かに、操作は同じ操作をするのですが、安心感が全く違います。普通二輪は、大型二輪に比べて車重が軽くトルクが小さいので、操作の感覚が身につけやすいです。操作の感覚を身に着けると、安心感が生まれるので思い切った操作ができるようになります。こういった精神的な成長が早いため、短時間でバイクに慣れることができます。

まずは、トルクの小さい普通二輪でバイクの操作に慣れていただいて、余裕を持って操作できるようになっていただいた後に、トルクの大きい大型二輪の教習を初めていただいた方が、安全でスムーズに大型二輪免許の取得が可能となります。

バイク免許 課題走行

教習時限の比較

普通車免許保有の方は、以下のような教習時限が設けられています。

ステップアップの場合

技能学科
普通二輪17H1H
大型二輪12H免除
合計29H1H

※学科教習は、危険予測ディスカッションになります。
※規定時間になります。

いきなり大型二輪の場合

技能学科
大型二輪31H1H
合計31H1H

※学科教習は、危険予測ディスカッションになります。
※規定時間になります。

教習時間を比較すると、いきなり大型二輪免許を取得される方が2H多くなります。理由としては、普通二輪免許を取得されていれば、概ね大型二輪の操作が行えると予測できるためです。また、時限的な面だけでなく心理的な面においても違いが出てきます。

いきなり大型二輪免許を取得する場合、31時限もの間、大型二輪を練習します。難しい操作が求められる大型二輪では、挫けそうになる場面が多々でてきます。しかし、ステップアップの場合、普通二輪で操作に慣れていることから、挫ける場面も殆どなく多くのお客様がご卒業されています。
こういった、実態からステップアップをおススメしています。

恐怖心

バイクの操作は、右手でアクセルと前輪ブレーキ、左手でクラッチ、右足で後輪ブレーキ、左足でチェンジペダルを操作します。このことからも解るように、両手、両足が使って操作します。全てを同時に操作することは、ありませんが左手と左足、右手と右足を同時に使用するなど、複合的に操作を行うことは、多々あります。

いきなり重くそしてトルクの大きい大型二輪では、操作手順を覚えるだけで頭が一杯な所に、より慎重な操作が求められます。これは、余裕が無くなる1つの原因となり、恐怖心を生んでしまう理由にもなります。確かに、時間を掛けながら操作手順を覚えながら操作に慣れていくのは、普通車免許等と変わりはありませんが、ひとたび、運転に恐怖心を覚えてしまうと慣れるまでに時間が多く掛かってしまいます。

反面、ステップアップでは、軽くてトルクの小さい普通二輪からスタートになるため、操作手順や操作感覚に慣れるまでに時間を多く要することはありません。操作が行いやすいバイクで、バイクの基本を身に着けることが恐怖心を少なくできるポイントでもあります。

操作と確認などの両立

安全に教習を進めていく上で「余裕」は、非常に重要です。

2段階の教習に入ると、コース走行など法規に従った走行の練習に入ります。予め決められた順路でコースを走行していただくのですが、バイク教習の場合は、指導員がコース順路を指示してくれるわけではないため、お客様自身がコースを覚えていただく必要があります。また、順路を覚えるだけでなく、適切な時機での合図、確認、適切な走行位置、進行判断など様々なことが求められます。

そのため、操作に意識が集中しすぎると他のことが疎かになってしまい、コースを安全に走行することが難しくなります。ここで、余裕が必要となります。ある程度、無意識に近い形で操作が行えるようになると、コース走行に集中できるため、安全を意識した走行が可能になります。安全を意識した走行を身に着けることで、免許取得後の安全に繋がる部分もあるため、教習の中で余裕を作り出すことは、重要になります。

指導員から

いきなり大型二輪でご入校されたお客様を担当させていただきましたが、殆どの方が苦戦されていました。

「大きい」「重い」「トルクの大きい」バイクをいきなり扱うのは、難しいです。とはいえ「教習時間が長いから。いずれは慣れるのでは?」と思われるかもしれません。確かに、教習時間の中で慣れていきますが、慣れるまでの時間は、普通二輪の倍以上となることが想定されます。
また、体力の消耗が激しいのも特徴です。バイクの運転は、運動の近い部分があります。そのため、重いバイクを扱うには、一定の体力が必要です。加えて、操作手順や操作方法、コース順路など頭を使う場面が多々あるため、脳の疲労も蓄積されます。

ステップアップで取得されるお客様の場合、普通二輪の教習開始時は、操作手順や方法を覚えるまでは苦労されますが、普通二輪の扱いやすさから比較的短時間で覚えられており、慣れるまでの時間も短くなっています。
普通二輪で身に着けた感覚などを、大型二輪の教習時に活かすことができることから、ステップアップで苦戦されることは少ないと考えています。

大型二輪免許をせっかく取得していただくのであれば、楽しく前向きに取得していただきたいと思います。こういった思いから、ステップアップでの大型二輪免許取得をおススメしています。

バイク免許コラム

Vol.1 バイク免許取得期間を解説

Vol.2 バイク免許が取得できるか不安な方へ